皿を飛ばす人。
女性誌て「同窓会」に向けての身だしなみ特集を、見かけることがある。
うーん。特集されるたいうことは、大多数の人は行くんだろうな…
自分が一度だけ「同窓会」に行ったときのことを思い出してみる。
あの子は、いやあの人は小学校のころ。彼女のとなりで相変わらず偉そうにしゃべってる似非マダムが万引きするとき、イヤイヤ見張りをしていたんだったなーとか。
目の前のいまだにかわいいこの人は担任と結婚したけど、結局どういう成り行きだったんだろうとか。
その昔エースで4番だったあそこの彼は、今じゃライパチ君だなあとか。
そのなかで自分はこれといった特徴のない人間で、存在感の欠片もない感じは昔も今も変わらない。
その証拠に、このとき、その場で一番目立ってた女子にこう言われた
えーっとそこの…黒くて小さい人、あ、みんなも昔そう呼んでたのよ。卒業文集にも名前じゃなくて「黒くて小さい人」ってかいておいたもん。だってあなた信じられないくらい色黒じゃないの。どうしてそんなに黒いの?昔からだよね。うっわ、変わらなーい。それで化粧してんの?ウケルー。
あのさ、デザート持ってきてくださらない?
彼女が差し出した皿を、私は思わず払いのける。
高々と空中に、舞い上がる皿が本当にスローモーションで見えて、ちょっとビックリした。
私の新しい名前は
きっと
黒くて小さい皿を飛ばす人。